学校とオペラ

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普段、私が指導する合唱団では、日本語の曲を練習したり、宗教曲を練習したりしていますが、

一応二期会というオペラ研究団体の会員でもあるので、

オペラについて触れることがあります。

今日は、日本の音楽大学と大学院について触れたいと思います。

音楽大学に声楽家で入学すると、声楽のレッスンがあります。今の時代はどうかわかりませんが、音楽大学に入学すると決める声楽家で
オペラをやりたい!と思って入学するの人はまれだと思います。大半は、合唱部などで歌う事をもっと学びたいと思ったや、小学校~高校でミュージカルを経験した。
そもそも歌う事が好きだったという場合の方が多いような気はします。

この辺、外国とは決定的に違うかもしれません。例えば、フランスやイタリアにコンセルヴァトーリオやヴァトワールという学校があります。
私立、公立とありますが、日本と決定的に違うのは 大学ではない所です。日本に置き換えると、ヤマハ音楽教室や、全日制ではない音楽専門学校と同等という点です。
これらの学校には、中学校に行きながら コンセルに通うや 大学に通いながらコンセルに通うというのが当たり前です。
なので、例えばイタリアでは、医者&声楽家 弁護士&オペラ歌手 なんて方がいるのが当たり前で、普通は、オペラを歌ってみたいから学校に通ってみるという人が多いです。

ドイツやオーストリアは大学ですので、イメージとしては日本のそれに近い存在です、違うのはドイツの大学は、仕組み的には、職業とする事を前提として大学があるという所でしょうか・・

日本の大学は、音楽に限らず職業とする事は建前はどうかわかりませんが、前提ではない様に思います。

オペラの授業を学部から実施するところは少ないです。オペラの中の合唱を歌わせるところは多いと思います。
大学のイベントとして、課外授業・・つまり単位にならない授業としてオペラを実施し、オーデイションで選ぶ一部の学生にオペラを指導する事はある様に思います。

この辺が、そもそも欧米と日本の大学において、声楽科に入る同期が全く違います。

さて、大学院ですが、
大学院は、ほかの大学と同じく研究を目的としている事がおおいので、
研究として、オペラか歌曲か、大学によっては古楽を対象にしてなんらかの研究を目的にさせる場合が多いです。
大学では、卒業論文がある学校は少ないと思うというか、聞いたことがありません。その代わりに、声楽の実技試験がありますが、
大学院では、修士論文の提出を求められる学校も多いです。もちろん修士取得のための、実技演奏は必須です。

どんな論文を書くかは、人ぞれぞれで・・声楽の場合は、発声そのものについて、様々な文献をまとめたり、実体験をもとに書き上げる場合や
音楽の歴史、作品の背景、について書く場合があります。

ちなみに、私は論文を書け~と言われて困ったのですが、

ヴェルディという作曲家の書いた「ステイフェーリオ」という作品をテーマにしました。
作品自体は 1970年前後まで存在は把握していても、楽譜が見つからなくなっていた作品です。
ある日本人研究家が、1990年代にナポリかどこかで原作小説を発見したという記事を何かの記事で読み
ヴェルディは有名なのに、こんな作品あるんだ~という事でテーマにしました。

結論として、作品自体の物語だけから把握される内容としては、

主人公は牧師であり、牧師が仕事で外出のために長期外出中、妻のリーナが貴族のラッファエーロと過ちを犯したという前提のもと
物語が進行しますが、

小説を読むと、主人公はユダヤ教徒である両親から生まれで、プロテスタンの牧師となった身であり
長期外出についてあももう少し複雑、そして物語の前提となる妻の過ちについては、妻が意図したものではなく、妻であるリーナを狙った貴族の陰謀の結果・・というか

トスカは、スカルピアがトスカを自らのものにするために、カヴァラドッシを利用し、
トスカも、カヴァラドッシの命を守るために、一時はスカルピアに身を委ねる事を受け入れるも、
直前で殺してしまうというお話ですが、

ステイッフェーリオの場合は、
貴族のラッファエーロが、リーナを自らのものにするために、陰謀を巡らせ、無理やりものにしたのち
リーナの父がラッファエーロを殺します。リーナは、陰謀の結果であった事などの言い訳は一切せずに、結果として浮気になった事だけがスティッフェーリオの知るところとなり
それをどう許していくか・・という作品であり、
論文の結論としては、この作品のリーナ像が一般的な解説書に書かれている人物像とは違うという事が分かりました。

この作品はヴェルデイの中期の人気作が書かれた作品の中で、封印されてしまった作品のため、設定に誤解が生まれやすくはありますが、
原作からオペラ台本にしていく上で、当然の様に物語の多くがはしょられますが、その結果、どういう人物構成だかわかりづらくなっている作品は多くあります。

ヴェルデイの作品なのに、2002年には、ヴォーカル楽譜も出版されていないオペラだったので、
ヤマハの池袋店を通して、イタリアからオケ譜をレンタルして、それを学校の大きなコピー機でコピーして 論文に張り付けるなど
まあ、お金がかかりました(笑)

声楽のレッスンを受けつつ、大学の4年生はおよそ10分~15分の演奏を行います、大学院では40分前後の演奏を行います(休憩なし(笑))
その傍らで、こういった論文を書くのが、日本の音楽大学院だったりします。